映像の色のお話RGBとYUV,HLS 

デザイナーにも増して実は映像では色の知識が重要になります。

編集時のグラフィックの色知識、カラーグレーディング時の色知識、撮影でのカメラ設定での色知識、照明の色知識・・・と光の色を主体とした色知識が必要になってきます。

しかも一般的なRGBだけでなくYUVという表記も出てきます。

最初に言っておきますが、色の勉強は生涯学習と言われるほど永遠に知識を習得してなお経験値や流行にも左右される永遠のテーマでもあります。なので基礎は大事ですが、最終判断は感覚になりますので悪しからず。

ただ基礎になるある一定のルールを得ていると実生活、インテリアやファッションにも使えるものなので色を勉強することはおすすめです。

まずはRGB

RGBこれは制作系のお仕事なら基礎中の基礎となります。

RGB・・・光の三原色。R=レッド G=グリーン B=ブルーであり、混ぜるほどに明るくなります。加法混色とも言います。照明や映像(テレビ)、WEBではこの三原色によって成り立っています。

RGBを三つ合わせると白になる

↓有名な話テレビ画面やモニターを拡大してみるとこの3つの色が見えますね。

ちなみに紙媒体などではCMYKになります。

で、ここまではよくある話。映像ではさらに違うフォーマットがあるわけです。

知らないと撮影や独特の雰囲気を出す編集時のカラーグレーディングにも影響が出てします。

YUVです。YMOではありません。YUV。

カメラはYUVを使って変換している

なにそれ。YUV?

ここからややこしい話になるので端的に行きます。

YUVとは・・・色空間(カラースペース)の一種で、輝度信号(Y)(明るさ)と、青色成分の差分信号(U)、赤色成分の差分信号(V)の3要素によって色を表現する方式のことである。

引用:webilo辞書 YUV

さらに

YUVの種類としてはYPbPrやYCbCrがある。YPbPrはアナログテレビのコンポーネントビデオ信号で使用されており、YCbCrはJPEGやMPEGなどの画像圧縮形式で採用されている。

なお、パソコンのディスプレイなどでは色空間がRGBで表現されているため、YUVのデータを再現するためにはあらかじめRGBの形式に変換する必要がある。

引用:webilo辞書 YUV

なんとなく感覚でわかってはいるのですが、改めて調べてみると確実に説明している記事は無いので一番端的に表現してあった上記から引用しました。

つまりのところ、さらに簡単に言うと。YUVとは色の圧縮方式です。カメラなどで撮影されたRGBの情報は重すぎるので、一旦カメラ内でYUVに変換されます。そしてまたテレビやモニターに映る際にRGBに戻すのです。

なので、撮影や編集の際に「YUV形式だと今の色はこんな感じ」「ちなみにRGBにしたらこんな色になるよ!!」という流れが必要になるのです。

※ちなみに厳密にはYUVとYPbPrやYCbCrは違うものらしいです。(この先を突き詰めると意味不明な文章になるのでここまでの表現にしておきます)

さらにHLSもある!

HLS色空間(エイチエルエスいろくうかん)とは、色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Lightness/Luminance または Intensity)の3つの成分からなる色空間HSV色空間によく似ている。 HSL、HSIと呼ばれることもある。

引用:wikipedia HLS色空間

HSLカラーソリッド

端的に言うと色を立体的に表現している雰囲気です。

色相の明るさを高さで表現しているとでも言いましょうか。

こちらも理解はざっくりでOKです。

さてここからが重要。

では実際RGBやYUV,HLSってどんな作業で使うの?ということなのですが、それは撮影時や編集時に波形モニターやベクタースコープと言う色の分布図を使って色味を調整する作業に使います。

これだけは知っておきたい色の「波形とスコープ」

映像制作で色を確認する際に使用するのが色の波形とスコープ

これは視覚では判断できない色の情報を数値やグラフによって数値的、論理的に判断するためのものです。

次の画像が実際に編集時の画面です。

⇓クリックすると大きくなります。

Premiere Proの波形とスコープ(RGB)

右のプログラムモニターの映像の色が左のスコープに反映されています。

なんとなくわかりますか?ここで意味不明でも、最初は「こういう画面があるんだ」程度で大丈夫です。

具体的なこれらの使用事例は

カラーグレーディングです。

  • 実際に撮影された色を調整して、表現力を高める。
  • クロマキー合成時に背景の色の調整。
  • 白とび、黒つぶれの確認、補正。
  • 2カメ以上で色が違う時の調整。
  • 放送基準に合わせた色の調整。

ざっとこんな感じでしょうか。

ガチのカラーグレーディングはDavinciresolveと言うソフトで行いますが、今回はわりかし馴染みのあるPremiere Proで説明します。

まずは先ほどの各種の波形とスコープの名前です。

順番に

ベクトルスコープHLS/YUV

円は色相(色の種類)を表していて、色信号が強いほどスコープの外側に、中央に近づくほど無彩色に近くななります。

実際の操作画面はこちらです。↓

パレード(RGB)

赤(R)・緑(G)・青(B)のレベルを示す波形が表示されます。クリップ内で色の構成要素がどのように分布しているのかを確認する場合に便利です。縦軸は輝度(明るさ)を表、縦に長いほどコントラストが強く、短いほどコントラストが弱くなります。また、横軸は画面に対応しています。今の状態では「赤(R)の明るさが強く、青のコントラストが強い」と言う意味になります。

実際の操作画面はこちらです。↓

ちなみに正しい色に補正してみました。

Before

After 画面右のLumetriカラーで補正しています

均等な分布にしてみました。しかしながらこれが正解ではありません。実際に撮影した現場はオレンジ系の照明なのでどちらかと言うと、現場の状況に合わせるなら上のBeforeが正解です。演出状況によって正解は変わっていきます。

波形(RGB)

これは一番よく使います。カメラで使う場合が多いです。上記のパレードの3つのRGBが一つに重なっています。完全に重なっている部分は白で表現されます。単純に白とびを確認するためによく使います。

波形(RGB)

実際の操作画面はこちらです。↓

上下とも波形が崩れない程度まで広げた値が一番良い明るさと言われています。

広げすぎると上は白つぶれ、下は黒つぶれになります。

明るさをギリギリまで調整した波形

こちらももちろん演出によっては白とびや黒とびをさせることもあります。(影やシワを消す時、コントラストを高めたい時など)

ヒストグラム

こちらも各色の分布なのですが、全体の階調スケールを調整するために使います。

ヒストグラム

どちらかと言うと個人的にはヒストグラムはモノトーン(2階調)の処理の時によく使用します。

今回はここまで

今回の色のお話はほんの触りです。

色は化学や数学の分野にも入るので一度で理解するには時間もかかります。色調整を実際にしながら理解していくほうが無難ではあります。

ただ、感覚だけで編集をしていくと答えの見えない迷宮に入り込んでしまうのも「色」なのです。

また作業するモニターによっても、色味は変化します。自分のモニターで確認してOKだったのにテレビやWEBでみたら違う色になっていたなんてこともよくあるお話。

今回の波形、スコープは色調整の指標です。慣れれば映像を見ずに波形、スコープを見ながら色調整したほうが早くイメージ通りに編集できたりもします。

また、がっつりVFXやカラーグレーディングをしたい人は思いっきり勉強・実践してください。今回も色々調べましたが、プロフェッショナルの皆さんがたくさん解説してくれています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする